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2018.05.08

ATD人材開発国際会議2018参加速報「ATD-ICEの見方、楽しみ方!」

今大会では、300以上の人材開発に関わるセッションが開催されますので、沢山の参加者がWEBや専門誌で内容を共有してくれると思います。
そのため、私は少し別の視点から参加日記を書こうと思います。日本とグローバルの人材開発を比べると、ATDでは次の5つの特徴があるように思われます。

 

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特徴1.価値観の多様性

参加者は、「リーダーシップ開発」「ラーニング・テクノロジー」「キャリア開発」などの14種類のセッションカテゴリーから、自分の好きなセッションを選んで参加します。
さらには、参加者同士の情報交換会など会場でたくさんの情報を共有します。しかし、同じ内容のセッションに参加しても、それに対する賛否が極端に異なることがよくあります。
例えば、リーダーシップ開発が典型的です。伝統的なリーダーシップスタイル論から、近年のトラスト(信頼)やパーパス(主体的な目的意識)を扱ったセッションの評価が、「素晴らしい方向性」から「効果がない、意味がない」まで極端に分かれる場合もあるのです。
人材開発に正解が無いことがわかっていたとしても、参加者の経験や環境で評価が分かれることは当然です。むしろ、我々が持っている経験や知識というバイアスを、どうやって乗り越えるのかという議論の方が興味深いです。
どのような考え方であっても、講演内容を自身の組織において活用するためのヒントを見つける過程で、参加者の経験が活かされるのだと考えます。

 

特徴2.トレンドの時差

ATD-ICEで使われるキーワードやテーマは、毎年少しずつ変化します。
例えば「タレント・マネジメント」や「マインドセット」「モバイルラーニング」などが多くのセッションで取り上げられてきました。その中で、すぐに消えてしまうキーワードもあれば、広がっていくキーワードもありますが、中長期で見るとそれらのキーワードが日本で使われるようになったり、重要視されるまでに2〜3年の時差があります。
例として、近年話題になっている「マインドフルネス」「マイクロラーニング」「サイコロジカルセーフティ」などは、数年前からATDで取り上げられていました。

ネットワークが進化して情報に直接触れる人も多くなった現代では、今後ますます時差はなくなるはずです。
それだけに、そのキーワードがどのような背景で出てきたのか理解する必要性が高まってきます。

 

特徴3.プレゼンテーション上の数値データ

ATDのプレゼンテーションでは、よく「80%の人が言っている」とか「20%しか無い」「5種類に分けられる」など数値やグラフを使った表現を多用します。そのため、参加者の多くが、納得感をもつことに繋がり、スライドをスマートフォンで撮影する光景もよく見られます。グローバルの参加者も多く、多様性の高い環境でもプレゼンで数値を使うことは王道の手法です。
勿論、出所の明らかな根拠のある数値や、学術的データも多くありますが、数値の出処を明確にしているプレゼンは意外と少なく、自社で実際に使う場合には注意が必要です。

 

特徴4.HowよりWhy

日本のコンベンションは、事例発表が多いのが通例です。ATD-ICEでは、分析、事例は少なく、あったとしてもクライアントとベンダーが一緒に発表することが多いようです。そして、何故この手法なのか、背景や意義を強調するセッションが多い印象があります。その意味では、HowよりWhyの探求でラーニングプロフェショナルに考えてもらうセッションも多くあります。
従って、誰かの意見ではなく、この情報をどのように考えビジネスに活かすことができるのかを多様な視点で考えることが重要です。

 

特徴5.定義の違い

英語と日本語では、同じキーワードでも考え方や意味が少し異なる場合があります。以前に『エンパワーメント』が『権限委譲』と訳されていた時期があり、内容が誤解されていたこともありました。一方で、『タレントマネジメント』のように、使われる範囲が広がって来たキーワードも、早くから使っていた企業にはそれなりにしっかりとした定義が存在します。
しかし、人文科学の世界に正解はありません。どれが正しいか、間違っているかの議論は不毛です。それぞれのキーワードを「何のために」「どのような場で」「誰に」使うのかを、使う側がしっかりと理解し、責任を持つべきです。