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2019.05.22

ATD人材開発国際会議2019参加速報⑦「人材教育におけるパーソナライゼーションの行方」

ATD2019

ATD-ICEでは2年くらい前からパーソナライゼーションというアプローチが注目されてきました。
研修開発でも、e-Learning開発でも、ターゲットを決めて必要な能力開発を行うためのコンテンツを開発して提供することが基本でした。

このようなコンテンツ提供中心の考え方ではなく、個々が持っている能力や、可能性に着目して、
一人ひとりに合った学習を行うという考え方がパーソナライゼーションというアプローチです。
そもそも、複数の人に同じ学習を行っても、学習の結果である効果に関しては、人によって異なるのは当然です。

 

今回のATD−ICEではパーソナライゼーションを取り上げたセミナーがいくつかあります。
個々の能力に合わせて、学習の種類や学習方法を、最も効果的な組み合わせにすることを目的として、
そのための手法や設計方法に関する内容がいくつかありました。

 

日本でも、学習塾などでは、はじめにテストを行い、その結果により教える内容を組み変える
アダプティブな学習(アダプティブラーニング)がかなり多くなってきました。
このように学習塾や学校などの学習目的は、知識付与であり、
学習目標や達成度が点数で把握できるため、比較的早く導入ができているようです。

 

一方企業の教育は、個別の能力や、特性にあった学習をアダプティブに提供するためには、
特定のスキルや対象者に絞って広がりつつあるのが現状です。
しかし、テクノロジーの進化により、近い将来、共通教育は減り、
個々の能力に沿った学習が計画され、提供されることになるでしょう。
そのためには、個々の能力や特徴を把握する情報と仕組みが必要です。
アナログの時代は、集計も大変でしたが、今はテクノロジーを活用し容易になりました。

 

ここで必要なパーソナルデータとは、個人を特定する情報(データ)です。これには、静的データと動的データがあります。
静的データとは、生まれ、性別や学歴、転勤歴など変えることのできないデータです。
動的データとは、評価情報や、学習結果や、評価データなど更新される情報です。
すでにありますが、近いうちに、検索の傾向や、情報の持ち方、
人と人との関係情報など、AIによる分析データが基本になると思います。
このような、変化するパーソナルデータをリアルタイムで分析して、
必要な教育を必要な時に提供することがテクノロジーの進化で可能になりました。

 

懸念されることとしては、
欧州で始まった個人情報に関する規制(General Data Protection Regulation; GDPR)です。
最近Googleが罰金を払うという事件があり、グローバル企業は過敏になっています。
従業員の個人データを一括管理すれば、対象となりますが、そもそも、日本企業は評価やキャリア開発の仕組みが
国によって異なっていて一括管理ができていない企業が多いことが現状です。
また、テクノロジーの進化に国の制度が追いついていないことも現状です。
従って、GDPRのような規制はこれからも起こるとは思いますが、
環境変化に対応しながら、人材開発の進化を遅らせないようにすることが必要だと思います。

 

【ATD-ICE 2019参加速報】
・ATD人材開発国際会議2019参加速報①「ATD と日本の活動について」

・ATD人材開発国際会議2019参加速報②「ATD-ICE2019の注目セッション!」

・ATD人材開発国際会議2019参加速報③「欧米企業と日本企業の課題が顕在化する時差」

・ATD人材開発国際会議2019参加速報④「リーダーとしてのレジリエンス」

・ATD人材開発国際会議2019参加速報⑤「ブロックチェーンと人事・人材開発」

・ATD人材開発国際会議2019参加速報⑥「フィードバックに関する気づき」

 

株式会社人財ラボ代表取締役社長
ATD International Member Network JAPAN 理事
下山博志